ゆく年くる年 ITトレンド ~上級者向け~

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2018年もいよいよ終わりですね。どうも酒井です。

今年もIT業界は激動の一年でしたが、皆さんはいかがだったでしょうか。

個人的には仮想通貨関連や、クラウドソリューションの推進によるオフプレミス化、アルファゼロが3つの盤ゲーム最強ソフトを打ち破るなどが注目のニュースでした。

今回は、行く年である2018年と来る年である2019年のITトレンドについてまとめて行きたいと思います。

Trend of 2018

冒頭でも述べましたが、個人的にはブロックチェーンとAI関連が注目された年だと感じますが、世界的にはどうだったでしょうか。
ガートナーが2017年に発表した2018年の注目トレンドについて見ていきましょう。

  1. Search
    2021年までに、先進企業は音声および視線などビジュアル検索に対応し、デジコマースの売り上げを30%増加させる
  2. Disruption
    2020年までに、デジタルジャイアンツの7社のうち5社が次のリーダシップを取るために自らのビジネスをDisruptして再構築する
  3. Blockchain
    2020年までに、金融業界においてブロックチェーンベースの仮想通貨は10億ドルのビジネス規模になる
  4. Trust
    2022年までに、多くの人は増大するフェイクニュースによって惑わされる
  5. AI
    2020年までに、AIが自身の作ったCounterfeit reality(偽の現実)もしくはフェイクニュースを見破ることができずに、結果として人々のデジタルへの不安を増長させてしまう
  6. AI
    2021年までに、エンタープライズの50%以上は、従来のモバイルアプリ開発より、ボットおよびチャットボットの開発に力を注ぐ
  7. Talent
    2021年までに、ITスタッフの40%は複数の役割をこなすことを求められる。しかもテクノロジー関連というよりむしろビジネスよりに
  8. AI
    2020年までには、AIは180万の仕事を人間から奪うが230万もの仕事を創り出す
  9. IoT
    2020年には、IoTは新製品の95%に活用される
  10. Security
    2022年までは、IoT向けセキュリティ予算の半分は、セキュリティを防ぐ本来の目的ではなく、リコール、安全性の問題などに費やされてしまう
    引用: 【2018年】ITの最新トレンド10大予測

2018年の予測トレンドを見ると、2020年前後を見据えたものが多く、全体的に今は導入期から成長期である印象。
それでは2017年に予測された情報に対して今年一年を振り返り、いくつか比較してみたいと思います。

Search of 2018

EC売り上げランキングによると2017年度のネット販売実施企業上位300社の比較では前年比で売り上げが11.7%拡大しており、ネット販売が占める割合が増加しているのは疑いようがありません。ではその売り上げ増加はビジュアル検索によるものの影響なのでしょうか。
LINEショッピングでは「ショッピングレンズ」と呼ばれるサービスを6月に提供を開始し、会員も2000万人を突破したとのこと。このショッピングレンズは検索したい画像をアップロードすることで、掲載されているアイテムの中から類似する商品を検索する事が可能な機能。
このように音声および画像から商品を検索するサービスが提供を始め、利用者も着実に増えている様子。
これらビジュアル検索がどれだけ売り上げに貢献しているのかは、各企業毎クリアになっていませんが、スマホが一人一台の時代なだけに、かなり角度の高い内容かと思います。

Blockchain of 2018

ガートナーの予測は10億ドルと試算しており、金融業界全体のビジネス規模76兆ドルと比較すると、ほんの一部でしかありません。しかし金融界における10億ドルが仮想通貨に置き換わると言えば、ブロックチェーンがいかに堅牢かつ信頼度の高い技術なのかが測れるかと思います。すでに900以上の仮想通貨ブランドが存在しており、今後更に利用率は増え、2023年までにエンタープライズ全体の約10%がブロックチェーンの技術を利用し変革するとまで言われているようです。
ではブロックチェーンの2018年の動向を、簡単な解説と共にみていきます。
ブロックチェーンは仮想通貨の基礎技術として利用されており、“分散型台帳”による入出履歴の高い整合性が保たれております。
詳細は別の記事にて紹介予定ですが、仮想通貨に利用されている分散型台帳を端的に説明しますと、銀行の通帳を利用者全員が共有しているようなものといえば分かりやすいでしょうか。
1人の入出金に関わる履歴を全員が共有しているので、1人の送金情報を全員が知っていることになります。なので送金の情報を改ざんするような悪質なハッキングは不可能と言われております。
しかし、今年1月コインチェックが受けた仮想通貨ネム(XEM)の約620億円相当のハッキングを始め、その後ネガティブなニュースも多く、一時期よりもその熱は収まっていますが、なぜ不可能といわれたハッキングが行われたのでしょうか。
コインチェックが受けたハッキングはブロックチェーン技術を突くものではなく、管理体制の欠点を突いたものでした。
仮想通貨は送金するために秘密鍵と呼ばれるもので署名を行うのですが、その秘密鍵をインターネット上に常時接続されている端末で管理していた為、ハッキングにより鍵を盗まれ、不正に送金されてしまったのです。”預金口座のカードと暗証番号を盗まれ不正に送金されてしまった”というとイメージが湧くかと思います。
この他にも”51%攻撃”と呼ばれるブロックチェーン基盤を突いた問題なども浮き彫りとなり、安全と堅牢な技術基盤に暗雲が立ち込め、今も一時の盛り上がり程ではありません。
まだまだ過度期といった様子のブロックチェーンですが、ブロックチェーンそのものは金融以外でも利用可能な技術なので、今後あらゆる分野でその恩恵に預かるものが増えていくことと思います。直近ですと、不動産取引に関する実証実験のニュースが取り沙汰されています。
参考: 三井住友信託銀行が不動産取引に関するブロックチェーン技術を利用した実証実験を開始

AI of 2018

AIという言葉は今やどこにでも耳にしますが、実際どのような場面で利用されて、どのような利害が考えられるのでしょうか。
昨今のAIブームは第3次AIブームと呼ばれており、多くのプロダクトに生かされています。
最近では自動車の自動運転やお掃除ロボット、クレジットカードの不正使用検知、ブラウザの検索などにも使われており、既に生活に溶け込んでいるものも数多く存在します。
その技術基盤には、ディープラーニングと呼ばれる機械学習手法が使われる事が多く、詳しくは人間の脳の神経回路の構造をモデル化したトップダウン型の情報処理の仕組みを利用しています。技術自体は古くから考えられていましたが、当時ではハードウェアの限界があり実現が難しいものでしたが、昨今のハードウェアの進化とともに可能となったのです。
しかし厳密には、AIという言葉は広義な意味で、アトムのような汎用AIと呼ばれる万能なAIは未だ存在しません。(年齢を感じさせry
よってそれぞれ目的に沿った特化型のプロダクトが台頭しているのですが、ある目的を持って作られた人工知能は、やはり人間が行うよりも正確で、その結果として自動運転などが注目されるようになりました。
そんな生活に役立ち始めたAIですが、果たして利用にあたり問題はないのでしょうか。
2018年に起きた自動運転の事故は米カリフォルニアで50件以上と急増しており、利用者が増えた事の弊害とも取れますが、自動運転が安全面での不安要素となっているようにも取れます。
また、AIが活用されているプロダクトとして、前回紹介しましたキャッシュレス・レジレスの話題も例外ではなく、将来的には230万人のレジ係が職を失うと予測されています。
このように、便利を目指したことで問題となる部分も多く、今や無視できない規模で試算されています。
個人的には使い方や利用方面について今一度考慮すべきと思います。

Trend of 2019

  1. Augmented Analytics(自律的なモノ)
    ロボット、ドローン、自律走行車などの自律的なモノは、これまで人間が担ってきた機能を、AIを利用して自動化する
  2. Augmented Analytics(拡張アナリティクス)
    拡張アナリティクスは、拡張インテリジェンスの特定領域に焦点を当て、機械学習を使用してアナリティクスの対象となるコンテンツの開発/利用/共有方法を変革する
  3. AI-Driven Development(AI主導の開発)
    2022年までに、新規アプリケーション開発プロジェクトの40%以上において、AIが共同開発者としてチームに参加するようになる
  4. Digital Twins(デジタル・ツイン)
    2020年までに、コネクテッド・センサとエンドポイントの数が200億を超え、数十億のモノに対するデジタル・ツインが存在するようになる
  5. Empowered Edge(エッジ機能の拡張)
    今後5年間で、さまざまなエッジ・デバイスにおいて、処理能力、ストレージ、その他の高度な機能が強化されるとともに、専用のAIチップが搭載されるようになる。
  6. Immersive Experience(イマーシブ・エクスペリエンス)
    仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、複合現実(MR)の変化が今後の「没入型エクスペリエンス」に道を開いていく
  7. Blockchain(ブロックチェーン)
    コストの削減や取引の完了に要する時間の短縮、キャッシュフローの改善をもたらす
  8. Smart Spaces(スマート・スペース)
    人と業界のシナリオ向けに、よりイマーシブかつインタラクティブな、自動化されたエクスペリエンスを創出する。
  9. Digital Ethics and Privacy(デジタル倫理とプライバシー)
    「デジタル倫理とプライバシー」は、個人や組織、政府にとって大きな懸念事項となっており、組織には倫理や信頼に立脚した行動が求められるようになる
  10. Quantum Computing(量子コンピューティング)
    2023~2025年から量子コンピューティングを利用し始め、自動車や金融、保険、医薬、軍事、研究などの分野が、量子コンピューティングの進化の恩恵を最も受ける
    引用: Gartner、2019年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表

Digital Twins of 2019

デジタルツインとは現実の空間情報をリアルタイムにデジタル空間に転送し、デジタル空間上に再現するというものです。
デジタルツインの取り組みとして、ゼネラル・エレクトリック(GE)社がデジタル製造業へと変貌をとげようとしていることが挙げられます。
GE社では飛行データやエンジンの詳細データをIoT技術で収集して、デジタルツインを構築することで、エンジンのオーバーホールの適切時期での実施を行い、コスト削減を図っております。これまでシミュレータへ理論値のみのインプットを行なっていたのに対して、現場で収集されるリアルな情報をインプットとしたことにより、より高精度な情報として現実のモデルへフィードバックする事ができるのです。
実際にはIoTとの連携が不可欠で、導入コストと実施コストとのトレードオフを考える必要があり、全てのプロダクトへ応用ができるというわけではありませんが、今後2020年までに、多くの製造業で標準的に導入されるのではと考えられます。

Quantum Computing of 2019

現代のコンピュータの1億倍以上の速度で処理を行えるとされる量子コンピュータですが、実は古くから研究されておりました。
しかし実現する為の技術レベルや量子コンピュータで利用する「Qbit」(キュービット)の状態を保つことが困難で、実現は難しいとされていましたが、昨今の技術的革新によりIBMからは50Qbit、Googleからは72Qbitの量子コンピュータが開発され、その進化は日進月歩です。
IBMでは一部公開されており、一般利用向けにクラウドサービスも展開されています。
未だ最先端の技術で、個人が手に入れられるものではありませんが、金融・研究・軍事といった方面には早い段階で供給されることでしょう。2023年から2025年以降とはいえ、かなり早いようにも感じますが、“2022年末までは量子コンピューティングについて学び、進展は注視すべきである”とガートナーのデイビッド・カーリー氏は述べています。
何に利用されるのか、何が便利になるのか、これから各企業が考えなければいけない事ではありますが、今後今まで以上に多方面から注目される事は間違いないでしょう。

まとめ

これまでニュースで目にする技術も、実際には予測された時流に沿っていたのだなと感じました。
自身の知らないことも多いですが、これからどんなことに取り組み、挑戦していくのか、これだけ選べる事があるのだと思うと、ワクワクしてきます。(オラわくわくry
紹介した中で廃れる技術もあるかもしれませんが、常にアンテナを張り、移り変わりに敏感でいることは、IT業界では当たり前のように求められています。どんな状況でも動じず対応するためにも知見を深め、常に準備ができた状態でいたいと思います。

Posted by SakaiYasuhiro
PHP,NodeJS,Reactを主に使っているが、デザイン周りもこなす何でも屋。 自称: 可能性の獣

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